藤野知明監督によるドキュメンタリー映画「どうすればよかったか?」2024年12月公開。
統合失調症が疑われれる症状が出始めた8歳違いの姉と、姉を治療から遠ざけた両親を弟である藤野監督が20年にわたり記録した作品です。
今回の記事ではあらすじと感想をまとめています。
「どうすればよかったか?」あらすじ
札幌市で医師で研究者である両親のもとに生まれた藤野監督には8歳違いの姉がいました。面倒見がよく優しい姉は医師を目指していましたが、ある日、統合失調症が疑われる最初の症状が出ます。
ですが、両親はそれを認めず精神科の受診から姉を遠ざけたのです。弟である監督は両親の説得を試みるも上手くいかず、わだかまりを抱えながら自身の就職で家を離れることに。
姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ監督は帰省するたび家族の日常の様子をホームムービーとして撮り始めます。
それから数年後、姉の状況はますます悪化し、家の玄関に鎖と南京錠がとりつけられているのを発見します。
「どうすればよかったか?」感想
観るかどうかをずっと迷っていて、結局観に行くことにしました。
初めて行った劇場は名古屋にある「ナゴヤキネマ・ノイ」
40席ほどの小さな劇場なのですが、平日だというのにほぼ満席で注目されてる映画なんだなと思いました。

映画の冒頭でこの作品が「姉が統合失調症を発症した理由を究明することを目的としていない」「統合失調症をどんな病気なのか説明することも目的ではない」と提示されます。
観る人によっては正解や不正解、病気になったのは誰のせいなんだとか答えを求めて探し出すこともしますよね。ですが、「どうすればよかったか?」を観る私が考えることなのかなと。
この作品には劇伴やナレーションは入っていないので、事実だけがどーんとあってそれを淡々と観ていくような感じでした。
お姉さんに統合失調症と疑われる症状が出てから入院に至るまで、25年もかかってしまったのはやはり長過ぎました。失ったものもたくさんあったのではないでしょうか。
分かりあえるはずの家族と分かりあえず、正常な会話や話し合いも出来ない状況ををずっと撮り続けるのはきつかっただろうなと思います。
入院して薬が合い回復した頃、カメラに向かっておどけたポーズをとるお姉さんの笑顔が少し救いになりました。
あとから読んだ監督のインタビューのなかで、両親をもっと早くに説得出来ていればとありましたが、どうすれば説得できたのかはわからないともおっしゃっていました。
終盤のシーンで監督がお父さんに事実確認をしているところ、私はその答えを聞いてあぁそうなのかと考えこんでしまいました。
家庭のなかで起きている問題は外側からは分かりづらいものです。
親が正しいと信じていることや子供に対してよかれと思ってやっていることを覆すのは難しいです。外から見て明らかに間違っていると思われることでも。
当事者や他の家族が他者に相談したり、助けを求められればいいのですが。困った状況に陥ったとき、自分たちの状況を俯瞰して見てくれる存在が必要なのではないかと思います。
私は、映画を観て家に帰ったあとで亡くなった父のことを思い出しています。父はうつ病からパニック障害を経て統合失調症に移行したので、寛解するまでに長い年月がかかりました。
父に対しては後悔してることが多いし、どうしたらよかったかと自問自答しても答えは出ません。「苦しかった過去」というラベルが剥がれるときが来るのかどうかも分かりません。
ですが、この作品に出会えて問いを持ち続けることの大切さを知り、特別な感情体験が出来たことはとてもよかったと思います。
まとめ
今回の記事では、映画「どうすればよかったか?」の感想をまとめました。
この作品を観た人たちが、答えのない問いを共有し考えてみることは大きな意味があるのではないでしょうか。
自分のあり方についても自問自答する機会になり、濃い感情の体験が出来たことはとてもよかったと思います。
それでは、次の記事でお会いしましょう!
